☆「今月のプロブレム」、11月の出題に挑戦した方は6名でした。
☆本欄ではキング=K、クイーン=R、ルーク=R、ビショップ=B、ナイト=S、ポーン=Pという表記を用いています。プロブレムでは、ナイトライダーというフェアリー駒にNの文字を当てるのが普通で、そのためナイトはSと表記する慣習になっています。
East Central Times 1889 1st Pr
1.Bc1-b2 ! zugzwang. 1...Sg2-e1 2.Qh1-d5 # 1...Sg2-h4 2.Qh1-d5 # 1...Sg2-f4 2.g3-g4 # 1...Sg2-e3 2.Qh1-f3 # 1...c3-c2 2.Sf7-d6 # 1...c3*b2 2.Qh1-b1 # 1...Kf5-e4 2.Rg6-g4 #
☆考え方はこうです。まず、たとえば1.Qxg2?のようなQを動かす手は、1…h1=S+!とチェックがかかって失敗。つまり、初手で動かす駒は、c1のBだとわかります。それでは、どこに動かせばいいでしょう?
☆いちばん有力そうなのは、1.Bf4?です。これは次に2.Sd6#を狙っています。受けがなさそうに見えますが、実は1…Ke4!とされるとメイトにできません。Bf4がいなければ2.Rg4#のダブルチェックで詰む順があったのですが、このBがRのラインの邪魔をしてしまうのです。
☆そこで正解は、意外な1.Bb2!。わざわざPに取られる位置に動かすのですから、感触のいい手です。
☆これは放っておくとメイトにするよという手ではありませんが、ツークツワンクで、1…c2と来たときにBのラインがe5まで通って、2.Sd6#のメイトになります。
☆1…cxb2なら2.Qb1#まで(「この手がしたかった!」と、井上聡美さんは感想を書いてくれました)。このメイトに気がつきましたか。
服部卓磨:最初はBh6を考えていたのですが、うまくいかず。まさか、ポーンでとられてもいいとは。
及川弘典:c2の変化に対応できる地点にビショップを動かす。
井上聡美:ちょっと難しかったです。パッと見て、QかSか黒マスBだとは思ったけど、Qが動くとダメなのはすぐに分かって、ナイトかなと思って試してみたら全然違ったような気がして、やっぱり黒マスBしかないと思いました。先に黒Kに近づく方を試したけど、黒Pのc2に対するメイトがなかったので、反対側に行こうとしたら、Bb2があやしいと直感で思いました。
Relax:紛れが強力!特にc2が良い受けなのでこれを打破することを考えました。
中嶋正和:1…c2 2.Sd6#のchanged mateが気持ち良い。
☆初形で、1…c2にはメイトが用意されていません。逆に言えば、1…c2のときに詰ますことができるような手をキーとして選ぶことになります。これは#2を解くときの大きな手がかりですので、よく憶えておいてください。
【総評】
服部卓磨:前回の感想になって恐縮ですが、自分で作ってみたものに、コメントをいただきチェスプロブレムの美学みたいなのが少しわかりました。1問目のデュアルという概念も初めて知りましたし、2問目は、もともとチェックを防ぐようにキーを作ればいいという発想だったので…。作品がいかに細部まで気を付けているのかが、よくわかりました。また機会がありましたら、挑戦したいです。
私が解きはじめて半年以上たちました。最初に若島先生のTwitterを見て、4月の初級にトライしたのがきっかけでした。なんでも解いていますが、初級問題もあるとはじめての人でも解答しやすいような気がしております。
【成績】
正解者:服部卓磨、及川弘典、井上聡美、Relax、kawasemi、中嶋正和(到着順)
☆全員正解でした! Relaxさんに賞品として、『チェス・プロブレム入門』をお送りします。