「今月のプロブレム」2023/09解答

☆「今月のプロブレム」、9月分の上級篇の解答参加は10名でしたが、そのうち1名は8月分の解答でしたので、残念ながら除外とさせていただきます。
☆本欄ではキング=K、クイーン=R、ルーク=R、ビショップ=B、ナイト=S、ポーン=Pという表記を用いています。プロブレムでは、ナイトライダーというフェアリー駒にNの文字を当てるのが普通で、そのためナイトはSと表記する慣習になっています。

上級1

Hevoje Bartolović
Shakhmati v SSSR 1970 1st Pr
white Kc8 Rb3f5 Bc2 Sd5f3 Pa6b4d2e2 black Kb5 Pa7c3d6e3
#2
1.d2-d4 ! zugzwang. 1...Kb5-a4 2.Sd5*c3 # 1...Kb5-c4 2.Sd5*e3 # 1...Kb5-c6 2.b4-b5 # 1...Kb5*a6 2.Bc2-d3 #
井上徹也:狙いを暫く考えて玉が×に動くスターフライトと紛れも含めたポーンのアルビノと読み解きました。
☆黒のキングが斜め4個所に動くのがstar-flightで、2段めにある白のポーンが4通りに動くのがAlbino。この4と4を組み合わせればどんなものができるか…というのがこの作品の発想です。
☆d2Pがどこへ動いてもself-blockになる、という作りですが、1.d4!のときだけは1…Kc6 2.b5#がchanged mateになります。
及川弘典: star-flight。
小林看空:楽しめました。
中嶋正和:初手d3かd4か迷う。
服部卓磨 :d4への5種の受けに対して全部違う形でチェックメイトできるのがきれいです。
たくぼん:K以外動けなくするのが巧みな戦術ですね。
Relax:一見ナイトが跳ねられなくなりそう。

上級2

Jørgen Møller
Skakbladet 1911
White Kh1 Qg1 Sc8 Pa7 Black Ka8 Bh4 Pc5d7e6
#3
1.Qg1-g7 ! threat: 2.Qg7*d7 threat: 3.Sc8-b6 # 3.Qd7-c6 # 2...Bh4-d8 3.Qd7-c6 # 1...Bh4-e7 2.Qg7-b2 threat: 3.Qb2-b8 # 2...Be7-d6 3.Qb2-g2 #
及川弘典: d5を防ぐためにbBを呼んで蓋をする。
☆いきなり1.Qb1?は1…Bg3!で失敗。まず1.Qg7!で1…Be7とここにBを呼んでおくと、2.Qb1のときに2…Bd6という都合の悪い受け(bad defense)しかなく、3.Qg2#で黒にはd5の受けがないためきれいなメイトになります。こういう、bad defenseになるよう黒の駒をいったん別の場所に誘っておく手筋をRomanと呼びます。
井上徹也:ダイナミックなQの動きを堪能しました。
中嶋正和:3.Qg2#の形が気持ち良い。
服部卓磨: Qg7 →Qb2→Qg2の動き方は感動しました。
たくぼん:黒のd6を防ぐ見事なQの大三角形。

上級3

Christopher Jones
The Problemist Supplement 1998
White Ka8 Re1 Sc8f8 Pe4 Black Kc6 Bd5 Sd7 Pb5
H#2 b) Sc8 -> a6
a) 1.Bd5-e6 Sf8*d7 2.Be6*d7 Re1-c1 # b) wSc8-->a6 1.Sd7-f6 e4*d5 + 2.Sf6*d5 Re1-e6 #
小林看空 :駒取はいまや常識ですね。
たくぼん:詰将棋では駒取りは減点という感じだがプロブレムだと対比という点もあるかもしれないが違和感がないですね。
☆特にヘルプメイトでは、白による駒取りはよく出てくるので憶えておきましょう。詰将棋の感覚になじみすぎていると抵抗があるかもしれませんが。
井上徹也:対比はできているが白に有利な駒取もあり少し平凡かも。
及川弘典:さらりと役割交換&ブロック駒交換。いい感じでした。
中嶋正和:bSとbBの入れ替え。

上級4

Gianni Donati
Probleemblad 1999
white Rh1a1 Sg1b1 Bf1c1 Ke1 Qd1 Ph2g2f2e2d2c2b2a2 black Ph7g7f7e7d7c7b7a7 Rh8a8 Sg8b8 Bf8c8 Ke8 Qd8
Proof Game 7.0
1.Sb1-a3 e7-e6 2.Ra1-b1 Bf8*a3 3.b2*a3 Sg8-e7 4.Rb1*b7 Se7-c6 {display-departure-file} 5.Rb7*b8 Ra8*b8 6.a3-a4 Rb8-b3 7.a2*b3 Sc6-b8
小林看空:これは難しかった。g8のbSがどこで消えたのか?→b8のbSと入れ替わっていたんですね。fbのbBは、a3で消えたのにちがいない。これは見当がつく。いちばんの謎解きの手がかりは、黒の駒が4ケ取られているので、aラインとbラインにある白のポーンは、黒の駒を取っているのに違いない。ここまで、思いついて、ようやく解けました。
作者とは文通したこともあり、懐かしいです。
及川弘典: wRの消し方が分かれば、bSb8がg8から移動してきたことに気付けるはず。
☆原型の駒のような顔をしている黒のSb8は、実はSg8が入れ替わったものでした……というのがこのプルーフゲームの物語。
井上徹也: Sを振替しないと手数が全く足りないのですね。
中嶋正和:白ポーンで駒を取る手が見えず苦戦しました。
たくぼん:Rがa3~b3と出て行くのは手数が足りない。a,bのPが入れ替わっているなんてまさかの展開でした。

【総評】
井上徹也:上級に身構えましたが、集中できたのかあまり考えこまずに解けました。
及川弘典:ヒントをつけるのはいい試みだと思います。
たくぼん:プルーフゲームは難しいですね。
服部卓磨:今月は2題しか解けませんでした。難しかったです。ヘルプメイトは見当がつかず。プルーフゲームは8手まではいったのですが、そこから1手減らせませんでした。
Relax:良問にヒントは要らないですよ。
井上聡美:今回は上級だからまだ解答者が増えるかどうかわからないけど、ヒントはとてもわかりやすかったです。受験勉強が忙しくなってきたので、今月も1問だけです。これからも、なんとか1問だけでもがんばります!
☆10月はちょっと毛色の変わったものを出題してみます。

【解答成績】
☆採点は、1題5点満点として、ISC方式で採点しました。
20点ーーKawasemi、井上徹也、中嶋正和、
19点ーー及川弘典、たくぼん
17点ーー小林看空
10点ーー服部卓磨
7点ーーRelax
0点ーー井上聡美
解答参加ーーかめきち
(解答到着順)

☆解答参加者の中から、たくぼんさんに賞品をお送りします。