「今月のプロブレム」2023/08解答

☆「今月のプロブレム」、8月分の中級篇には、遅刻分2名も含めて、解答参加は8名でした。やはり少なくとも10名はほしいところです。解答が少ないと、本欄の存続にも関わりますので、ぜひ多くの方々のご参加をお待ちしています。
小林看空:twitterで呼びかけをみたので、急いで解いてみました。
☆ご協力ありがとうございました。

☆本欄ではキング=K、クイーン=R、ルーク=R、ビショップ=B、ナイト=S、ポーン=Pという表記を用いています。プロブレムでは、ナイトライダーというフェアリー駒にNの文字を当てるのが普通で、そのためナイトはSと表記する慣習になっています。

中級1

Lev Loshinsky
The Problemist 1930
White Ka8 Qf1 Rb7h3 Be1g8 Black Ka6 Rh4 Ba1 Se2f3 Pa7d5
#2
1.Qf1-f2 ! threat: 2.Qf2*a7 # 1...Ba1-d4 2.Qf2*e2 # 1...Se2-d4 2.Qf2-a2 # 1...Sf3-d4 2.Rh3-a3 # 1...Rh4-d4 2.Rh3-h6 # 1...d5-d4 2.Bg8-c4 #
井上徹也:d4の地点が急所なんですね。
及川弘典:d4に黒4種5枚が移動。
服部卓磨 :d4への5種の受けに対して全部違う形でチェックメイトできるのがきれいです。
たくぼん:d4への5種類の手に全て対応出来るとは素晴らしい。
☆みなさんにも狙いが明確に伝わったようです。現代の#2は、いわゆるパターン・プレイが全盛で、歴史的な知識がないと狙いがわかりにくいことになっていますが、こういう明快な表現で、何をやっているのか理解しやすい作品を、ここではなるべく選ぶようにしていくつもりです。

中級2

Friedrich von Wardener
Bohemia 1908
White Kg4 Qa1 Rf2 Pf3g2 Black Kh2 Sf4
#3
1.Rf2-a2 ! zugzwang. 1...Sf4-d3 2.g2-g3 + 2...Sd3-b2 3.Ra2*b2 # 2...Sd3-f2 + 3.Ra2*f2 # 1...Sf4-e2 2.g2-g3 threat: 3.Ra2*e2 # 1...Sf4*g2 2.Qa1-b2 threat: 3.Qb2*g2 # 1...Sf4-h3 2.g2*h3 # 1...Sf4-h5 2.g2-g3 # 1...Sf4-g6 2.g2-g3 # 1...Sf4-e6 2.g2-g3 # 1...Sf4-d5 2.g2-g3 #
井上徹也:初手が妙手!詰将棋で経験している手筋のはずですが、Kに駒を接近させる手ばかり考えて苦労しました。
☆R+Qというエンジン付きの形も、プロブレムではさまざまな工夫が凝らされてきました。詰将棋にも応用がきくかもしれないアイデアもあり、また紹介する機会があるかと思います。
及川弘典:最遠移動の理由に感心。
服部卓磨:初手はこれしかないと思ったんですが、理由を考えるのに時間がかかりました。Ra2とQb2の形を作るためですね。
たくぼん:Sの移動位置でいろいろ楽しめる作品でした。

中級3

Manne Persson
BCM 1977
White Kb5 Rc2 Bb1 Pg5 Black Kh7 Qd6 Ba3a8 Sa5f6 Pf7h6
H#2 2 sols.
1.Sa5-b7 g5*f6 2.Qd6-b8 Rc2-c8 # 1.Sf6-d5 Rc2-c8 + 2.f7-f5 g5*f6 ep. #
井上徹也:B利きの止め方とPで取る駒の対比が狙いでしょうか。実はアンパッサンを忘れてました。
及川弘典:アンパッサンができることに気付くまで少し時間がかかった。
たくぼん:f6の対比が面白いですね。(2解目アンパッサンの時の記載方法がよく分かりませんでした。)
☆gxf6 ep.またはe.p.と書きます。
小林看空 :b1のBで詰めるのは、明白なので、d3 , e4地点をどうするか? e.pの詰め上がりは、自作でつくったことがあるので、見当がつきました。
☆アンパッサンに目を奪われたのか、本作の狙いを見破った方はいませんでした。白の指し手にご注目を。1手目と2手目が入れ替わっています(gxf6とgxf6 ep.は実質的に同じと考え、アンパッサンがおまけに付いているのがおもしろい装飾)。これがテーマ。H#2だと気づきにくいかもしれませんが、たとえばH#3の3解で、白の1、2、3手目がサイクリックに入れ替わる、という表現が代表的で、そういうテーマをWhite cycleと呼びます。
☆なお、最初の解で、2.Qb8はQを邪魔にならないように隠す手筋で、これもヘルプメイトでは頻出。これをhideawayと呼びます。

中級4

Arno Tüngler
Die Schwalbe 1978 3rd Pr
White Kg7 Re1 Bh2 Pc3g4 Black Ke5 Ra6 Se2g3 Pd5
Ser-H#5 2解
1.Ke5-d6 2.Se2-f4 3.Sg3-e2 {display-departure-file} 4.Kd6-e5 5.Ra6-d6 Re1*e2# 1.Ke5-e6 2.Sg3-e4 3.Se2-g3 {display-departure-rank} 4.Ke6-e5 5.Ra6-e6 Bh2*g3#
井上徹也:易しいですがとてもキレイな対比で好きです。
及川弘典:Sを繰り替えてピンメイト。巧い。
服部卓磨 :最初にKを動かす手がなかなか見えませんでした。ピンを外すのにRを使うと思って苦戦しました。
たくぼん:最初はRで遮るのかと思いましたが手数が足りませんでした。Ser-Hは面白いですね。
小林看空:これが最初に解けた。ピンを意識して解くとやさしい。
☆解答を書くときに気をつけていただきたいのは、たとえば最初の解で、3.Se2と書くと、f4のSかg3のSか、どちらが動いたのかわかりません。こういう場合、必ず3.Sge2(g筋のSが動いた)あるいは3.S3e2(3段目のSが動いた)と明記してください。今回は正解扱いにしましたが、ISCなどの公式競技ではペケになりますのでご注意!

【総評】
井上徹也:前回と比べて今回の中級は難しく、解答を出すまでに2週間以上かかってしまいました。
井上聡美:今月は1問だけです。夏期講習で忙しかったのと、WCCC2012神戸のブックレットp66~p70を解いていました。Q2BとQ3Bが難しくてまだ解けていません!
☆1問だけでもオーケーです! 虫食い算も頭の体操になりますね。受験勉強も、楽しみながらがんばってください。

【解答成績】
☆採点は、1題5点満点として、ISC方式で採点しました。
20点ーーKawasemi、井上徹也,及川弘典、中嶋正和、たくぼん
17.5点ーー服部卓磨
10点ーー小林看空
5点ーー井上聡美
(解答到着順)

☆解答参加者の中から、中嶋正和さんに賞品をお送りします。