☆「今月のプロブレム」、4月分の初級篇には、過去最多数の12名の方々から解答をいただきました。井上徹也さん、服部卓磨さん、池田さんが初の解答参加。これからもどうぞよろしく!
服部卓磨:今回初めて応募させていただきます。また、チェスプロブレムも初めてです。見様見真似で書いてみます。
池田:チェスの棋譜の記法をググって書いているので正しい記法かは分かってないです。
☆記法はあまり気になさらずに。正しく詰めているとわかる解答はマルにしています。
初級1Joseph Graham CampbellThe Chess Player's Chronicle 1861 #2
White Kf2 Qf6 Bh7
Black Kg4 Pg5
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☆1.Qh8!とBの陰に隠れるのが意表のキーです。この手が1...Kf4という逃げ道(フライト・スクウェア flight square)を与えるところも味が良く、常識的な1.Qh6?だとその順が詰みません。 たくぼん:近づくのではなく遠くに行くようなキーがポイントですね。 井上徹也:絶対見たことある図の筈だがしっかり悩む。 Relax:何で3手詰がこんなにムズイんでしょうね。 ☆やはりこのキーには心理的な抵抗感があったようです。 藤原俊雅:私が初めて解いたプロブレム。こんな初手が成立するとは……と当時感心した記憶がある。 及川弘典:Kf4の順がアクセント。 服部卓磨:最初は、1.Qf3?で簡単と思っていたら1...Kh4が2手でつみませんでした。 神在月生:かくれんぼ すぐに現る クイーンや |
初級2Ado KraemerFränkisches Volksblatt 1914 #3
White Ke4 Sd5 Pc7e7
Black Ke6
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Relax:飛角両不成みたいな親近感がすごい。 ☆ステイルメイトを防ぐためのB成とR成は、詰将棋における打歩詰を防ぐための角不成と飛不成に対応しています。詰将棋とチェスプロブレムの、意外な親近性でしょうか。 井上徹也:Q成/B成の組合わせは2つともStalemateになる、という構成もできそう。 藤原俊雅:黒に手を与えるため、必死のunder-promotion。 服部卓磨:2回のプロモーションでチェックをかけないのが面白かったです。 たくぼん:チェックをかけないように気をつける。おもしろいですね。 及川弘典:3種成。 ☆1.e8=Bを放置した場合の、いわゆるスレットが2.c8=Q+ Kd6 3.Qc6#となることを指しての評ですが、実際には黒の着手が1...Kd6以外に存在しないので、このスレットはヴァーチャルなものになるため、これを3種成とは考えずに2種成ととらえるのが普通です。 神在月生:下位成りで ステイルメイト 防ぎたり |
初級3György Páros1st Friendship Tourney 1962 H#2 b) -Pe5
White Kb4 Bg2 Sb5 Pf3
Black Kd5 Bb7 Pe5
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たくぼん:黒と白で1手で行けるところを2手かける対比が見事です。 ☆a) では黒の1手目1.Ba8、b)では白の1手目1...Bh1が、1手パスする、いわゆるテンポになっています。つまり、この作品の狙いは、黒と白の双方テンポ。 井上徹也:これは可愛くて好み。双方のテンポが優しく楽しい。 藤原俊雅:盤端でBのtempo move。少ない駒数で出来ていて、さすが名手Paros! ☆黒と白の双方テンポという、かなり独特なテーマは、一流作家のJosif Kricheliが掘り下げたもの。今年の世界大会が開催されるGeorgiaは彼の故郷なので、大会期間中に彼を偲ぶ催しがあるのではないかと思います。 及川弘典:双方のBishopの動きがいい感じでした。 服部卓磨:どちらの手順も時間稼ぎするのが面白いです。 神在月生:微妙かな 一手ポーンが 混じりしや |
初級4Miroslav BilyCanadian Chess Shat 1981 H#3 2解
White Kc7 Rg4 Sg3
Black Ke5 Sh6
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☆最終形は、まったく同じ形が上下に1列ずれたもの。こういう色違いのマスでのエコーのことを、カメレオン・エコー(chameleon echo)と呼びます。それに対して、同色のマスでのエコーはモノクローム・エコー(monochrome echo)と呼びます。近年、隅4個所でのエコーで4解にするという作り方がはやっていますが、それは後者になります。 及川弘典:綺麗なエコーメイト。 藤原俊雅:Chameleon echoの簡潔な表現。作者はこのテーマのスペシャリスト。 ☆作者のMiloslav Bilyは、70年代から80年代にかけてこうした2段エコーや3段エコーを量産した、愛すべき作家でした。 井上徹也:wKとbSの関係性でうまく手順を限定している。 服部卓磨:形だけ決めて、あとは手順を考えました。 たくぼん:詰上り型は見えましたがどこでというのがなかなか見えませんでした。白のKの使い方がうまい。 中嶋正和:Pal Benkoの同じようなH#3を思い出しました。 ☆これですね。 Pal Benko, Chess Life, 1974 H#3(Set Play) |
【総評】
井上徹也:初級のおかげか全部解けてよかったです。また解答したいです。
☆中級篇にもぜひご解答を!
井上聡美:問題3のビショップの動きがおもしろかったです。
☆初めての全題正解、おめでとうございます!
かめきち:時間がー。あと1分しかない。今⽉は取り組む時間が取れませんでした。また次回初級編に挑戦したいです。
神在⽉⽣:看板に 偽りなしの 初級かな (と⾔いつつ 最終問は 無解なり)
服部卓磨:普段詰将棋パラダイスなどをよく解いています。今回ツイッターからこのHPを知りました。こういう芸術作品としてのチェスプロブレムは、ナイトライダーとか通常のチェスと違うコマが出てきて、ルールが複雑で何をすべきかわからず、解こうとしておりませんでした。このHPでは、何をすべきかを書いてくださったこと(ヘルプメイトが⿊から始まるをの初めて知りました)と、また初級編だったことがきっかけになり挑戦してみました。思いのほか解けましたし、またチェスプロブレムの作品としての⾯⽩さを知れました。特に初級3は、普段詰将棋をやっている⾃分としては、チェスプロブレムならではという感じがして、⾯⽩かったです。また機会がありましたら挑戦してみようと思います。
☆みごと全題正解でした。おもしろさを感じ取ることができれば、どんどん解けて、世界が広がります。これからも引き続きご愛読を!
【解答成績】
☆採点は、1題5点満点として、ISC⽅式で採点しました。
20点ーー井上徹也,藤原俊雅、Kawasemi、及川弘典、服部卓磨、たくぼん、井上聡美、
中嶋正和
15点ーー神在⽉⽣
10点ーーRelax
5点ーー池⽥、かめきち
(解答到着順)
☆8名が全題正解と、好成績でした。
☆解答参加者の中から、服部卓磨さんに、JCPS発⾏のプロブレム書籍を賞品としてお送りします。