「今月のプロブレム」2023/10解答

☆「今月のプロブレム」、10月分の作図問題に挑戦した方は6名でした。
☆本欄ではキング=K、クイーン=Q、ルーク=R、ビショップ=B、ナイト=S、ポーン=Pという表記を用いています。プロブレムでは、ナイトライダーというフェアリー駒にNの文字を当てるのが普通で、そのためナイトはSと表記する慣習になっています。

問題1

 白の初手(キー)が1.Ba1-h8(a1のBをh8に移動する手)となるようなMate in 2の図を作ってください。
 ただし、キーは駒取りではありません。

小林看空

#2 (5+2)

神在月生

#2 (5+2)

原亜津夫

#2 (3+2)

服部卓磨

#2 (4+3)

中嶋正和

#2 (7+7)

ISC2023出題作 Poul Hage Magasinet 1941

#2 (14+10)

小林看空:なお、白Pg4を配置すると、白の手番としては、不可能局面になります。
おもしろいですね。
服部卓磨:そんなこと実現できるの?って最初は思いました。黒の駒をf6に動かせばいいと気づいてからも、なかなか時間がかかりました。
☆1.Bh8!を捨駒にできたところが工夫で、感心。ただし、1…Kxh8の変化が2.Qh7#と2.Qf8#の2通りあり、これはデュアルといって減点対象になるのが残念。
神在在月:熟練に 教えいただき 黒ポーン
中嶋正和:#2としては易しいと思います。できればもう少し変化を増やしたかったですが。
☆2.Sfe5#のスレットに、1…Rc5 2.Qxe8#; 1…Bd4 2.Qb1#; 1…exd6 2.Qxd6#と3つの変化を盛り込んだ苦心作。1…c3のディフェンスが強いため、1.Bh8!が絶対なのが難点です。
原亜津夫:恐らく最小駒数だと思います。
☆1.Rf6?の紛れが1…e6, e5でも1…exf6でも逃れるので、RとPを1列左に寄せたほうがいいかもしれません。
井上聡美:問題1は、なんか見覚えがあると思って、2023年ISCのカテゴリー3の4問目を見ると、同じ動きの問題があったのを思い出しました。
☆すばらしい記憶力!

問題2

次のような答えになるMate in 2の図を作ってください。

1.Sc4! waiting(初手のキーはツークツワンクで、スレットは付いていません)
1…Qb4 2.Rh4#
1…Qg5 2.Re1#
1…Qxe4+ 2.Bxe4#

小林看空

#2 (7+2)

神在月生

#2 (5+2)

服部卓磨、井上聡美

#2 (5+2)

中嶋正和

#2 (5+3)

小林看空:なんとか作図できました。題意を満たしていると思います。
☆キーでRa2のラインを空けるのが絶対になっているところが弱点。
井上聡美:Sの位置が、Sa3,Sa5,Sb2,Sb6,Sd6 この5つからしぼれませんでした。
☆服部卓磨さんも同じ図になりました。ただ、これだと黒から1…Qc5+または1…Qc7+のチェックがありますので、それを防いで1.Sc4!が絶対手になるのがつらいところ。模範解答と比べてみてください。
神在月生:変化多で 題意に合うか 不安なり
☆この図では1.Sc4?に1…Qc5+!とチェックをかけられるので成立していません。
中嶋正和:白のRe4,白マスB 黒のQe7,Kh1あたりまでは推定できましたが、その先はPopeyeを使った力技になってしまった。もっと論理的な解き方があるのだろうか?
☆これが原作図と同じ、模範解答です。
☆出典は、Erich Brunner, Deutsches Wochenschach, 1908。

☆この図を鑑賞してみましょう。黒はRe1#とRh4#の2個所でのメイトを、Qの利きで受けています。言ってみれば、e1とh4の2地点を押さえる焦点の位置にQがいるわけで、これをフォーカル(focal:焦点)と呼びます。
☆もし黒番だと(つまりset play)、黒のQがどこかに動かなくてはならず、焦点の位置からずれてe1とh4を同時に押さえることができなくなります。つまりこれは完全ブロック(complete block)の形です。
☆だったら、白は純粋な手待ちをしてやればいいはずですが、その手待ちがどこにあるか。
☆Qを動かしてみます。
1.Qf2? 1…Qg5!
 押さえる地点がe1からg1にずれて、この受けが成立します。
☆Bを動かしてみます。
1.Bg6? 1…Qf6!
 押さえる地点がe1からf1にずれて、この受けが成立します。
☆Sを動かしてみます。
1.Sb3? 1…Qb4!
 これがフォーカルのテーマの基本的な受け方。e1とh4を押さえるポイントがe7と対称的なb4に発生します。
1.Sf3? 1….Qxe4+!
 2.Bxe4と取り返してもそれがチェックになりません。
1.Sf1? 1…Qh7!
 押さえるのがh筋だけになったため、この受けが成立します。
☆というわけで、残ったのが
1.Sc4!
 今度は、1…Qb4でも4段目のラインが切られているので、2.Rh4#となります。
☆白Kの頭に黒Pを乗せるのも、プロブレムの作図では常套手段ですので、よく憶えておいてください。

【総評】
神在月生:面白き 問い形式に 興味わき
☆作ってみたくなる、その気持ちは詰将棋でもプロブレムでも同じですね。
井上聡美:問題を作る問題は、難しいから問題だと思います。
☆形式は違うのですが、作るときに推理を働かせるのは、解くときとそんなに違いはありません。こんなのを作ってみたい、という夢を、自分の力で一歩一歩考えながら実現させていくのは、このパズルでいちばんおもしろいところです。
☆作るのもおもしろそう、と思っていただくのが、今回の出題の意図でした。あなたもぜひいろんなテーマで#2を作ってみてください。そして作れたら、ぜひProblem Paradiseに投稿してみてください。お待ちしています!

【解答成績】
☆採点は、1題5点満点として、課題達成には3点与えることにしました。
小林看空 3+3=6点
服部卓磨 4+4=8点
神在月生 3+2=5点
中嶋正和 3+5=8点
井上聡美 0+4=4点
原亜津夫 4+0=4点
(解答到着順)

☆解答参加者の中から、小林看空さんに賞品をお送りします。