☆「今月のプロブレム」、3月分の上級篇には、10名の方々から解答をいただきました。原岡望さんが初の解答参加。
☆次の4月分は初級向きですので、新規の参加者をお待ちしています!
☆本欄ではキング=K、クイーン=R、ルーク=R、ビショップ=B、ナイト=S、ポーン=Pという表記を用いています。プロブレムでは、ナイトライダーというフェアリー駒にNの文字を当てるのが普通で、そのためナイトはSと表記する慣習になっています。
上級1Norman A. MacleodNewtownards Spectator 1979 #2
White Ka1 Qf4 Ra2h1 Sf2 Pb2d2
Black Ke2 Re8 Bc8d8
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☆2段めに並んだP2枚を動かせばメイト。ということは、初手のPの動かし方4通りのうち、どれが正解のキーになるか、という問題です。 ☆黒のディフェンスは、Bf5(c2に利かす)、Bf6 (b2に利かす)、Be6(a2に利かす)、そしてBa5(d2に利かす)の4通りあります。 ☆1.d3?は1...Bf6! 1.d4?は1...Bf5! で失敗します。つまり、dのPを動かす手はありません。 ☆1.b3?は1...Ba5! ☆これで残った1.b4!が正解になります。1...Bf6+がチェックになるところもうまい作り方です。 及川弘典:Bの利きを塞ぐ、味のいいP移動。 Relax:無駄合(笑)を打破する唯一手。 藤原俊雅:4つの受けのうち、1...Be6のみ黒Rのラインを切ってしまう手なのがポイント。 中嶋正和:1.b3では上手くいかない。 たくぼん:BとPのセットにリズムがありますね。 神在月生:二歩進み クイーン王手 活かしたり 原岡望:チェックをかけさせるとは。 ☆詰将棋で言えば「逆王手」で、チェックをかけさせてチェックで返す。プロブレムの#2では頻出の狙いです。これを専門用語でクロスチェック(crosscheck)と呼びます。 |
上級2Hans CohnMorgenzeitung 1928 HM Draw
White Kg3 Re3
Black Ke5 Qe4 Pb5
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☆エンドゲームの問題。白はQを落とすことができますが、問題は黒のb筋のP。これがQに成るのを防がなくてはなりません。 ☆1.Kf2 b4 2.Ke2 b3(2...Qxe3+なら3.Kxe3 Kd5 4.Kd3以下ドロー)までは絶対だとして、その後が問題です。 ☆3.Rxe4+? Kxe4とすると、以下4.Kd2 Kd4となって、この形は黒負けです(5.Kc1なら5...Kc3でアウト)。この順にはまった解答者が数名。 ☆正解は3.Kd1!と、Rのヒモを自らはずしてしまうのが意外な妙手。3...Qxe3と取れば、なんとステイルメイト! ☆3...Kd4ならもちろん4.Rxe4+ Kxe4 5.Kc1でドローになります。 ☆採点は、3.Kd1!が発見できれば5点満点としました。 藤原俊雅:掴んでいた手を離すような3.Kd1が印象的。解答競技の際にメインラインと変化をどこまで書けば満点になるのかよく分かりません。 ☆stalemateの筋がメインラインですが、分岐があってどれがメインラインかわからない場合は、目についた順をすべて書いておくのが実戦的です。 Relax:opposition取られるしー、と思った所でステイルメイトの好手を発見! ☆正解はこのお二人でした。 たくぼん:エンドゲームは解き方がわからないですね。 ☆ドロー問題だと、意外なステイルメイトの順を探すのがひとつのテクニックです。 |
上級3Friedrich ChlubnaDie Schwalbe 1970 H#2 2解
White Kg4 Qd3 Re3 Be2 Sd1
Black Kd5 Rd4 Bg5 Sc4 Pe4e5
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藤原俊雅:典型的な構成のH#2。RとQ、BとSがそれぞれ役割変換する。 ☆これがヘルプメイト、という作り方の好例です。最初の解では、黒の初手で取られてしまうのがQ、e4に捨てるのがRで、メイトにするのがB、逃げ道を塞いでいるのがS。次の解では、黒の初手で取られてしまうのがR、e4に捨てるのがQで、メイトにするのがS、逃げ道を塞いでいるのがBになっています。 及川弘典:wQd3とbPe4が互いに取り合うのがいい感じ。 たくぼん:Kにわざと取らせる位置に移動するのは面白い感覚です。 原岡望:Kを e4におびき出す方法。 ☆1.Sxe3?としてしまった解答がありましたが、これは白のKにチェックをかけてしまっています。 |
上級4Pietro RossiScacco! 1995 Ser-H#7
White Kh4 Rb2
Black Kg2 Pf2g3h2
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☆まず詰め上がりの黒Kの位置を考えます。それはh2しかありません。 ☆次に、h1とg1に埋める駒を考えます。その組み合わせは、Rh1、Sg1になります。 ☆ここで問題が発生。h1にはRを入れたいのですが、いきなり1.h1=R??とすると、白のKにチェックがかかってしまいます! ☆そこで、1.h1=S!として、回り道のようですが、f筋のPをRに成る方針が浮かびます。 ☆スライドパズルのようなSeries Helpmateの楽しさ、いかがでしょうか。 たくぼん:チェックをかけてはいけないのがなかなかの条件で苦労しました。 原岡望:ヒントに助けられました。 中嶋正和:Sg1、Rh1の形を作るために一工夫。 藤原俊雅:8手あればどうやっても辿り着けるが、7手だとこんなに苦労させられるとは! 及川弘典:5・6手目が上手い。 |
【総評】
Relax:エンドゲーム好きなのでもっとお願いします。
☆逆に、エンドゲームは苦手という声もあり、難しいところです。
井上聡美:先月の中級よりもおもしろかったです。
☆すごい!
羽毛布団:1題のみの回答です。よろしくお願い致します。
原岡望:今更、釈迦に説法で恐縮ですが"Japanese Chess" Problem Magazine と誤解されないでしょうか。
☆そういう可能性も頭に浮かんだことがあります。Chess Problem Society of Japanとする案もありました。ただ、JCPSという略称を長いあいだ使ってきただけに、残念ながらもはや変更はできません。
【解答成績】
☆採点は、1題5点満点として、ISC方式で採点しました。
20点ーーKawasemi,藤原俊雅
15点ーー及川弘典、井上聡美、中嶋正和、たくぼん
12.5点ーー原岡望
10点ーーRelax
5点ーー羽毛布団、神在月生
(解答到着順)
☆1番は全員正解でした。
☆やはり2番のエンドゲームがいちばん難しかったようです。
☆解答参加者の中から、井上聡美さんに、JCPS発行のプロブレム書籍を賞品としてお送りします。